じわじわ殺されない講義11 ヘルシーはリスクが高い

「思考停止しないでくださいね」と言うとポカンとされます。

まあ、貴方は大丈夫だと思いますが。

栄養士という資格があります。

「なんで野菜はヘルシーですか？」
こう問いかけて頂くと、殆どの栄養士は答えられません。答えたとしても的が外れています。

教科書が正しいという前提で資格ありき試験ありきの詰め込み学習をするとこういう弊害がでます。

僕達が教科書で習ったものは一度全てを疑って考えてみたほうが良いと思います。

今日の話はまさにそういう例です。

野菜は身体に良い　→　サラダを食べる

単純にそう思っていませんか？貴方の身の回りの人たちをよ～く観察してみてくださいね。
当たり前だと思っていたこと、身体に良いと思い込んでいたことをもう一度考えてみなければなりませんね。

季節の野菜をしっかりと処理して美味しく頂いてくださいね。

50度洗いは実際にやってみてください。

余談ですが、アサリの砂抜きも50度のお湯は素晴らしいですよ。
アサリをガシャガシャ洗って、50度のお湯に数分つけると一気に砂を吐いてくれます。しかも旨味成分が増します。

補講『大根おろし』について。

ビデオの中で松永さんと僕の会話の中に【大根おろし】が出てきましたね？
ついでに理解の幅を広げておきましょう。

大根をスティック状にして食べると甘みを感じますが、すりおろして食べると辛味を強く感じます。（わからない人は実験してください）
また、おろすと辛いのに何故煮物にすると辛くないのでしょうか？

大根おろしの辛味の正体はアリルイソチオシアネートという物質です。これはワサビやカラシにも含まれている鼻にツンときたり涙が出る成分です。これを大量に化学合成させると毒ガスの原材料になります。
おっと！誤解しないでくださいね。大根おろしは食べても良いのですよ。なんでもそうですけど、良い悪いは対象に対しての量や質や暴露時間によって変わります。塩だって取りすぎると死にます。

大根おろしのアリルイソチオシアネートは大根の細胞が物理的に壊される際に別の酵素と空気に触れて化学反応を起こして活性化します。殺菌作用がありますから、牡蠣を洗ったりする際に用います。それ以外にも風邪を引いて喉が痛い時なども大根おろしの汁でうがいをしたりします。また、蜂蜜と併せて喉の痛みに対処するなどの薬として活用してきた歴史もあります。蜂蜜の殺菌作用と大根おろしの殺菌作用を併せるとは昔の人の知恵は素晴らしいですね。

大根にはその他にも有用な成分があります。

ビタミンCが豊富で体内で抗酸化作用をもたらします。
ジアスターゼ（アミラーゼとも呼ぶデンプンを消化する酵素）を多く含み、炭水化物の消化を助けます。人間は唾液中にこの酵素を持ちます。
プロテアーゼ（タンパク質を消化する酵素）も含んでおり、魚や肉等の薬味として用いると消化を助けます。人間は小腸でこれを分泌しています。
リパーゼ（脂質を分解する酵素）を含んでおり、青魚等を食す時に消化を助けてくれます。人間は膵臓が分泌します。

魚の脂質は酸化しやすいことをお伝えしましたね？
魚を食べる時に抗酸化作用を持つビタミンCやプロテアーゼ、リパーゼを含む大根おろしを一緒に食べることはとても理に叶っていると思いませんか？

ビデオに出てきた話では、松永さんはサンマを食べる時に大根おろしをいっぱい食べると言っていました。素晴らしいですね。

では…

一方で僕が次のようなことを言っています。

「大根おろしを単体でいっぱい食べると胃が痛くなるよ」

何故か？わかりますよね。消化プロセスを説明した講義を思い出してくださいね。

アミラーゼとジアスターゼは同じと考えてください。
大根にはデンプン質も含んでいます。大根をおろすと細胞が壊れて各酵素とデンプン質も混ざってしまいます。ですので時間が立つとジアスターゼ（アミラーゼ）が大根のデンプンも分解し始めます。唾液にもジアスターゼ（アミラーゼ）が含まれています。
では胃の中ではどうでしょうか？胃の中では胃酸（強塩酸）が出ます。大根にもプロテアーゼというタンパク質を分解する酵素があります。ところが大根にはタンパク質は極微量しかありません。つまり、胃酸もプロテアーゼも溶かす対象が無い状態になります。もうわかりましたね？胃酸は溶かす対象がないのです。もし胃の粘膜が弱っていると自らの胃壁を溶かしてしまいます。

大根おろしはタンパク質を含む肉や魚と一緒に食べてくださいね。

大根おろしとジャコ
大根おろしとイクラ
大根おろしと焼き魚
大根おろしとステーキ

どうですか？最高ですよね。
更によくする為には柑橘系の絞り汁を加えてください。（レモン、すだち、かぼす、ゆず、ライム、橙など）

大根おろしを作る際には大根の皮を厚めに剥きましょうね。

復習はこちら

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アウトプットは自分の為に必ず行ってくださいね。